夜想曲〜ノクターン〜
愛を知った人魚の姫は 人の姿と想いを抱いて 闇の海へと消えました 愛しい人の血を浴びて 人魚に戻ることをせず 一人海の藻屑となって 海へと消えていきました
姉の声は哀しく響き 王子は何も知らないまま 夜の闇に満ちるのは 消えゆくことの悲しみか 出逢えたことの喜びか 人魚の姫が消えた後 姉は静かに歌います 月と、星と、海もまた 人魚の姫へと歌います 何も知らない王子は一人 理由も分からず海を見て 一粒涙を落します